2013年3月3日日曜日

ミルクは飲まない方がいい?ローミルクはヘルシー?

うちではミルクを飲む習慣がありません。
別に意図的に飲まない訳ではなく、なんとなく誰も飲まないのです。

子供達が小さい頃は普通に飲んでいました。
小児科に指示されたように、自然に母乳から牛乳に代わり、長男は一時期結構な量を飲んでいたと記憶しています。
子供達が食べられるものが増えるに従って、次第に牛乳を飲む量が減って行きました。
当時から牛乳は本当は体によくないという話もちらほら聞いていたので、なんとなく豆乳を買うようになり、
お友達にCostcoのオーガニック豆乳がおいしいと教えてもらってからもう5年ぐらいそれを買っています。
おそらくその豆乳の味に慣れてしまったからか、普通の牛乳は飲まなくなってしまいました。
今ではその豆乳でさえあまり飲みません。

最近になって、より突っ込んで食べ物のリサーチをしてるうちに、なぜ牛乳がよくないと言われるのかようやく理解するに至りました。

まず、牛乳は本来牛が飲むもので、人間用にはできていない。という説。自然に納得できますね。
牛乳に含まれている乳糖(ラクトース)を消化するにはラクターゼという消化酵素が必要ですが、年齢が進むに従って私たちの体はラクターゼを作らなくなって行くのです。
もともとアジア人はラクターゼが低いと言われています。年をとってから飲む必要がないということでしょうか。
また、牛乳に含まれているカゼインというたんぱく質も消化しづらいのだそうです。
次によく聞くのは、牛乳のカルシウムは吸収率が低いというものです。
体はカルシウムが入ってくればどんどん吸収するという訳ではなく、ビタミンDやマグネシウムが必要です。
しかしかなりのアメリカ人がマグネシウムが足りていないという現状。更に牛乳や肉を消費すると血液が酸性に傾くので、バランスを保つために骨からカルシウムが引き出されてしまうというのです。
牛乳の消費量が高い国で骨粗鬆症が多い場合があるというのはこういう理由が背景にあるのかもしれませんね。

そして最近のローフード、ロープロセスフードブームにのった私が発見した新たな理由。
それは、今の牛乳は昔の牛乳とはかなり変わってしまっているということです。

まず、牛の食べ物です。
牛はもともと牧場で牧草を食べて育つ動物ですが、現在の(アメリカの)ファームでは牛乳の生産量を増やすために、大豆ベースの餌が与えられています。プラス、脳下垂体からホルモンをたくさん分泌する種類の牛をブリードしたおかげで、100年前は一頭の牛から一日に2〜3ガロンしかとれなかったミルクが、今ではではその3、4倍もの量が得られるそうです。
脳下垂体から分泌されるホルモンは、お乳を作るように体に伝達するホルモンの他に、成長ホルモンもあります。これに加えて更に成長ホルモンが与えられているのですから、牛乳にどのくらいの影響がでるのか想像するとちょっと怖い気もします。
FDAから遺伝子操作されたホルモンの投与が認めらても、実際に長期に渡る人への影響のデータが無い場合が多いです。一度承認された薬が撤回されたり、海外で禁止されている添加物がアメリカで許可されているのはこのためです。

こうした不自然な餌や大量のホルモンの結果、牛は病気にかかりやすくなり、そこで抗生物質が投与され続けるという悪循環。近年のミルクアレルギーにはこうした背景があるのではと推測されるのもうなずけます。

これだけではありません。搾乳された牛乳は、危険な病原菌を殺すために加熱殺菌します(71度で20秒ぐらい)。もともと生のミルクには病原菌から守る乳酸を発生させるバクテリアが含まれています。高温殺菌によってこういった有益な菌も死んでしまうわけです。
また、加熱殺菌によって牛乳のアミノ酸が変形してしまい消化しづらくなったり、不飽和脂肪酸が酸化してしまいます。ビタミンCを始めとする水溶性のビタミン類や酵素もほぼ破壊されてしまうのです。

消化され切れなかった牛乳が小腸に残ったりすると、栄養吸収を防いだり、逆に毒素を体に取り込んでしまったりするそうです。

こういった情報の後に、では何がいいのかということになると、やはり生ミルクになります。
狭い小屋の中に詰め込まれて与えられた餌を食べているだけの牛ではなく、放牧され、緑の草を食べている牛のミルクには、豊富なビタミンやミネラルの他に、癌に効果のあるCLAというものも含まれているそうです。
乳製品をたくさん摂取して健康のベネフィットがあるという地域では、生のミルクを使用しているところが多いようです。

ずっと昔、まだ私が中学生ごろだったでしょうか。テレビで牛乳嫌いの子でも飲める牛乳というのを紹介していました。
それは、牧場で絞りたての牛乳を飲むというものでした。
スーパーに売っている牛乳は、加熱殺菌の他に、homogenization といって、牛乳を攪拌して脂肪球を紛糾し、牛乳内に均一にちらすという作業が行われています。homogenize していない牛乳は、しばらくすると軽い脂肪が上に集まって固まってきます。加熱殺菌やhomogenizeされていない牛乳は、特有のくさみがなく甘いのだそうです。テレビに出ていた子供が絞りたてのミルクを飲んで、
「おいしい!」
とごくごく飲んでいたのを覚えています。
その時から、私は一度生の牛乳を飲んでみたいといつも思っていました。

カリフォルニアは、生のミルクの販売が許可されている数少ない州のひとつです。
もちろん普通のスーパーにはなく、ヘルスフードストアに行かなければなりませんが、手軽に手に入ります。
先日どうしても試してみたくて、Mothers' Marketに行った際に小さな生ミルクを買ってみました。

ここのミルクです。(写真を撮るのを忘れてしまいました。)

小さいボトル(多分ピントサイズ=500mlぐらい)だったと思います。5ドルぐらいしました。
隣にあった瓶詰めのJersey milk(高脂肪のミルクを出す種類の牛)の方が、脂肪が上にたまっていておいしそうに見えたのですが、「生」と書いていなかったので(高温殺菌だけしてhomogenizeしていないものもある)とりあえず今回はやめておきました。

で、生ミルクのお味ですが、うーん、私としてはあまり普通のwhole milkの味と変わらないような気がしました。
期待が大きすぎたのかな?とちょっとがっかりです。
子供の反応も「ふーん」という感じ。
もし子供達が大好きで頻繁に飲むようだったら、月に2回ぐらい買ってもいいかななんて思っていたのですが、今回はパス。
ただ、生ミルクから出来ているチーズやヨーグルトだったらうちでも食べられそうなので、最近乳製品を買うときは原材料に「fresh milk」と書いてあるものを探しています。
数は少ないですがチーズだったらTrader Joes' や Costco, Mothers' にあります。もちろん Whole Foods にもあると思いますが、最近行っていないので確信はありません。

生のヨーグルトはないかなと思って探したところ、Mothers’でこんなヨーグルトを発見しました。(最近写真を撮るのを忘れてます。)

原材料に「Pasteurized(加熱殺菌)milk」ではなく、ただ「milk」とあったのでもしかして生かなと思ったのですが、今ウェブサイトを見たら殺菌されていますね。ただ、丁寧に低温殺菌しているそうです。小さいバッチで、いかにも手作りという感じのするMason jar に入っていました。
カリフォルニアでは殺菌せずにヨーグルトを作って売ることは禁じられているようです。
クォートサイズ(=約1l)ジャーで5ドルぐらい。
こちらはJersey cow のミルクなので、とてもクリーミーで(脂肪が上に溜まっていたので混ぜました)おいしかった!

ローフードやヘルスフード アドボケートの記事ばかり見ていると、raw milkは殺菌されたミルクよりもはるかに安全で、殺菌されたミルクの方が食中毒が多いということばかり書いてありますが、ちょっと気になったので調べてみました。
決定的なデータは見つからなかったのですが、CDC(Center for Disease Control)のサイトでは、「高温殺菌されたミルクは不適切な殺菌や、殺菌後の微生物混入」が食中毒の原因になり、生ミルクについては、「消費が少ない割にはローミルクに起因するものが多い」とありました。リソースはここ

他のサイトでは、ローミルクが原因の食中毒はかなり重症になるケースが多いというリポートも。
幼児にローミルクを飲ませることに懸念を示しているものもあります。
ちょっと考えさせられてしまいますね。
昔は何から何までローカルが基本。
小さいバッチで作り、すぐに消費するのが当然だったのでしょうが、今は生産者からスーパー、消費者へと渡っていく過程があります。
その中で、適切な衛生管理や温度管理がなされないと、命取りになるということでしょうか。

私個人としては、なるべく牛のネイチャーに基づいた環境で自然と育った牛の生ミルクを飲むのが一番だと思います。
人は何千年も前から牛やヤギなどのミルクを利用してきました。
しかし、ミルクを加熱殺菌するというのはここ数十年のうちに始まったことです。
加熱殺菌に加え乳牛の環境をとりまくいろいろな変化、そしてそれに伴うミルクアレルギーの増加。

ただ、殺菌されない生ものにはそれだけリスクも伴うということ。
どんなに有益なバクテリアやエンザイムが含まれていても、一歩間違えると命取りになることもあるというのを覚えておいた方がよさそうです。それはお魚やお肉も一緒ですよね。
どの道うちでは乳製品の消費量は少ないので、たまにおいしいものを食べられたらと思います。

たかがミルク、されどミルク、奥が深い!

参考文献

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